弁証論治(べんしょうろんち)に基づいて治療を行います。
「証(しょう)」とは、”病の本質”のことです。弁証論治とは、「証」つまり、病気になった原因や患者さんの体質を見極め、今までの経過をふまえた上で、今の状態に対して最も適した薬を、その患者さんのためだけに調合することです。
そのために、全身の細かな症状や、舌診(ぜっしん)と言って舌の状態、女性は月経の状態など、頭のてっぺんから、足のつま先まで、細かに体調を伺います。当たり前だと思っていた事も、実は当たり前ではないこともあり、ささいな一言が処方を決めるヒントになることがあります。
よく言われていることですが、これは一概には言えません。
漢方薬でも胃腸不良や風邪など、急性の症状に対するものであれば、たった一服の漢方薬で治るものも沢山あります。飲んでその日のうちから効果が感じられる即効性のある薬もありますので、「漢方薬=何ヶ月も飲まないと効果が出ない」と言うのは誤解です。
ただし、慢性的な症状に対しては、中医学は「体質を改善し、病を根本から治すこと」を目標とするため、長期間飲み続けないと効果の表れないものもあります。一般的にはその病になった年月分、ある程度治すのにも時間がかかると言われています。治すのに必要な時間は、病の根の深さにもよりますし、個人の薬に対する感受性にもよる部分があります。
治したい疾患・症状によりますが、中医学にも「本治 ほんち(根本治療)」の薬と、「標治 ひょうち(対症療法)」の薬の2種類がある場合もあります。2つを併用することもできますので、ご相談ください。
漢方薬による体質改善は一般的に3か月がワンクールといわれています。せっかく飲み始めたら、3か月とは限りませんがある程度、続けないと返ってもったいないかもしれません。良くなった!と思ったらすぐやめるのではなく、体質が固定するまで量を少し減らして、もう大丈夫!とご自分が納得なさったところでお止め頂きます。
そうですね。いろんな味がありますが苦味があるものが多いかもしれません
ただ、中には香りの良いスッとするものや、甘くておいしいもの、シナモン味のものなど、なかなかおいしい処方もあります。
自分にとって必要な薬が美味しければよいのですが、そうもうまくいかなかった場合は、丸剤や錠剤など味の感じにくい剤形や、エキス顆粒剤をオブラートに包んで飲む等の方法があります。
人にもよりますが、同じ処方でも、エキス顆粒剤より煎じ薬の方が苦味を感じづらく飲みやすいという方もいらっしゃいます。
「良薬は口に苦し!」と昔からよく言いますよね。
実は苦いことも効能のうちなのです。
中医学では、味をおおまかに5つに分けて、「五味(ごみ)」といいます。「酸(すっぱい)・苦(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しおからい)」の5つの味にはそれぞれ効能があります。それゆえ、中医学の専門家は、生薬(漢方薬を構成している薬草一つ一つをこう呼びます)の五味が分かれば、おおよその効能が分かります。
例えば皮膚病の漢方薬は、特に苦いものが多いですが、この苦味の成分に、痒みや赤み・炎症を取り除く作用があります。
不思議ですが、重い皮膚病の方にものすごく苦い漢方をお出ししても、意外と皆さん「全然、平気!けっこうおいしい」と、飲めます。その薬が「体にとって必要」であるとき、心とからだはそれほど嫌がらないのだと思います。
また、薬を煎じているときの香りにも効能があります。煎じ薬の香りがお好きでしたら、すすんで嗅いでください。
ご安心ください!錠剤・丸剤・エキス顆粒剤などもあります。
今でも「漢方薬=お鍋でコトコト煎じないといけない」と思っていらっしゃる方は多いようです。
しかし、時代は進みました!
上にも書きましたように、今は錠剤・丸剤・エキス顆粒剤など、煎じたエキスを濃縮して錠剤や顆粒剤にした飲みやすい剤形が沢山ありますのでご安心ください。必ずしも煎じないと飲めないということはありません。漢方薬局なら種類が豊富にそろっています。ビンに入った錠剤・丸剤はあまり味を感じずに飲めますし、顆粒剤は一回分ずつ包んだ状態でお渡しできます。
飲みやすさ・手間の面からだけ言えば、錠剤・丸剤>エキス顆粒剤>煎じ薬ですが、効きの良さ・体質に合わせて調節ができる面から言えば、やはり、煎じ薬>エキス顆粒剤>錠剤・丸剤となります。煎じ薬はひとりひとりの体質や、その時の体調に合わせて、まさに「さじ加減」といえる調節ができます。また、製剤化されていない処方を作ることが出来るので、やはりとても有用です。煎じ薬は1日分ずつをティーバックにお作りした状態でお渡しします。それを持ち帰ったら、麦茶を炊く要領でコトコト煮るだけですので案外簡単です。毎日煎じる手間がありますが、煎じている間の香りにも効能があるのです。
相談料はかかりません。安心してご相談下さい。
全身の症状を丁寧にカウンセリングして薬が決定され、それからようやく価格を計算できます。「頭痛なら、いくらくらいですか?」という質問をよく受けますが、ひとことで頭痛と言っても人によって必要な薬が全く違うので、価格がすぐに分かりません。弁証論治に基づいたカウンセリングをする漢方薬局の特徴です。
ご予算がありましたら、遠慮なくお申し付けください。
価格を聞いた後に、「やはり止めよう」となられても初回時の相談料はかかりませんので、ご安心くださいませ。
※2回目以降の相談(購入無し)は、30分おきに相談料が発生します。
※相談(カウンセリング)して、購入せずに薬の名前や商品名だけを知りたい場合は、30分おきに相談料と処方提示料が発生いたします(初回・2回目以降関係なく)。
詳しくはお問い合わせください。
エキス顆粒剤は、1日200円~650円です。
処方・病状によって価格は異なりますが、1ヵ月分が約15,000円前後の方が多いです。20000円の方もいれば、8000円の方もいます。
煎じ薬は1日約600円~800円、錠剤・丸剤は瓶に入った状態ですので1瓶3,500円~9,500円前後(1日分で計算すると約190円~300円前後)となります。
上記は大人の量の場合の価格ですが、お子さんは体重によって量を決めます。体重が軽ければ薬の量も少なくて済みますので、結果として価格も安くなります。
エキス顆粒剤・煎じ薬・錠剤・丸剤はどれも、処方によって1日当たりの価格は異なります。処方の中に貴重な生薬や高価な生薬が含まれると価格はどうしても高くなってしまいますし、安い生薬のみで構成されている処方ですと安くなります。
同じ病名でも、ひとりひとり体質が異なるため、必要な処方も違ってきます。ご相談して、全身の症状を細かくお伺いしてから処方が決まり、そのあと計算して価格が分かります。「慢性頭痛の漢方薬はいくら?」と聞かれて、直ちにはっきりとお返事したくてもできないのはこのためです。
また、お茶でしたら、1種類1,000円台~3,000円台くらい(1~2ヶ月分)と、大変お買い求め安い価格となっております。当店では、生薬専門の問屋さんから信頼できる質の良い商品を取り扱っておりますので、安心してお飲み頂けます。
店頭に置いていないものでも、取り寄せられる商品が沢山ありますので、何かご希望のものがありましたらお気軽にお問い合わせください。
初回で約30分~1時間です。2回目からは、10分~30分程度です。
同じ処方で続けたい場合は事前にお電話頂けると、準備しておいて、すぐにお渡しできます。
3日分からお出しできます。
一般的に、風邪薬など急性疾患で2日~5日、慢性疾患の方では症状の変化に応じて2週間~30日分の間隔でお出しします。
漢方薬といえども副作用はあります。おおきく分けて2つあります。
ひとつは、「証(しょう:体質・病の本質のこと)」に合っていないケースです。
この場合、正しくは、”副作用”ではなく、”誤治(ごち)”といいます。”誤治”とは、誤った治療のことです。
”誤治”がよく起きるパターンは、だいたい2パターンあります。
誤治パターン①:
友人や家族が自分と同じ病気で、○○湯を飲んで治ったから自分も飲んでみる、あるいは、ラジオ・雑誌・インターネットで見つけた“○○には○○湯が効く”という情報を元に、自己判断だけで漢方薬を飲むと、証に合わず副作用が起きる場合があります。これに関しては、漢方薬を正しく運用できる知識を持つ専門家に、中医学に基づいた診察を受けて薬を選んでもらえば問題ありません。今まで新聞などに取り上げられた漢方薬の副作用問題は副作用ではなく、用いる側の知識のなさによる誤用がほとんどです。このケースは非常に多く、副作用ととらわれがちなのが残念です。正しく運用できる知識があれば問題が出ることはほとんどありません。
誤治パターン②:
「検査データの数値を下げるという情報や、病名のみから大雑把に処方を選んだ」場合です。日本で起きた、「小柴胡湯」の事件がよい例でしょう。実際、漢方の本場、中国では、証をしっかり定めて治療するため、このような失敗は起きません。
どちらのケースも、その人の「証(しょう:体質・病の本質のこと)」を無視した処方選びをした結果です。しかし、これに関しても、漢方薬を正しく運用できる知識を持つ専門家に、中医学に基づいた診察を受けて薬を選んでもらえば問題ありません。
ふたつめが本当の副作用。純粋な生薬アレルギーによるものや、胃もたれなどの症状です。
生薬はすべて自然界に存在するものです。(例えば、根っこや葉っぱ、お花や骨など)
したがって、食物アレルギーと同じ理屈でアレルギー反応が起きる可能性があります。食物と同じように、なってみて初めて「もしかして…」と分かるものなので、どうしようにも防ぎようがないのが事実です。
ただし、西洋薬に比べて、生薬のアレルギー反応がでる確率は極めて低くなっています。また、西洋薬のような激しい副作用はないように思われます。当店では幸いにも今のところ、生薬アレルギーはでておりません。
そもそも、本来、アレルギー反応は、食べ物や生薬そのものが「ワルモノ」なのではなく、自分自身の身体の免疫のトラブルです。したがって、アレルギー体質を改善することも視野に入れなければならない、とも言えます。
胃もたれに関しましては、胃もたれしやすい漢方薬は初めから予想がつくため、消化器系が弱い方には注意しながら用います。ただ、飲んでみなければ分からない部分もありますので、様子をみながら不具合がありましたら加減してゆきます。消化器系が弱い方は、カウンセリングの際に必ずお話しください。
当店で漢方薬を飲んでいる方のほとんどは西洋薬を飲んでいますが、大きな問題が起きたことは今のところございません。
ワーファリンのような一部の西洋薬に関しては併用に気をつけなければならないため、当店では必ず現在服用している薬について教えて頂いています。また飲まれている健康食品などにも作用の強いものや漢方薬の成分と重なるものもありますので、併せてご相談下さい。
一般的に漢方薬は食前や食間の空腹時に服用した方がよく効くため、自然と西洋薬と飲む時間がぶつからないことが多いです。西洋薬と漢方薬は時間をずらして飲むようにおすすめしています。
漢方薬は”医薬品”扱いのため、品質の管理は万全です。中国産で度々問題にあがるのは、”食品”扱いのものです。両者は、管轄する法律も異なります。
したがって、同じ「くこの実」でも、食料品店で購入するのと、漢方薬局で購入するのとでは、品質がまったく異なります。漢方薬局のくこの実は、医薬品基準の検査(食品よりずっとずっと厳しい検査)を受けたものなので、スーパーなどの食料品店で購入したくこの実より、ずっと安全です。
一般に、漢方薬局で扱う漢方薬は、日本産であれ、外国産であれ、日本の法律により、残留農薬・放射性物質・重金属・添加物などについて、非常に厳しい品質管理をしているため、いっさい心配はいりません。
現在、日本の医療の現場で扱われている生薬は、日本産のほか、中国・オーストラリア・ブラジル・スペイン・インド・イラン・ベトナム・インドネシア・アメリカ・マダガスカルなどの海外から輸入されているものになります。
その理由は主に2点あります。
まず一つ目は、日本は、農作物の自給率すら非常に低い国であるため、国内での生薬栽培は今現在ほんの数種類の生薬のみになっています。(これから少しずつですが、増やしていく方針ではあるようです)
それゆえ、ほぼ海外からの輸入に頼っているのが現状です。
二つ目は、生薬は生息する”土地”を選ぶため、生薬の産地をすべて日本産にすることはできません。その生薬に適した気候風土でないと、植えても育ちません。高山の崖っぷちにしか生えないもの、砂漠地帯にしか生えないもの、ジメジメした沼地を好むもの…など様々な個性をもつ薬用植物があります。
医薬品扱いの漢方薬は、病院でもらう錠剤と同じ品質・安全性を保っていますので、ご安心ください。